2008年04月09日

hideにみる音楽の本質

昨日紹介した茂木健一郎さんの著書「思考の補助線」における以下の内容に照らして、あるミュージシャンについて考えてみたい。


総合的知性が、ある専門性における鋭利な達成につながる。ともすれば、純粋音楽家とみなされがちなモーツァルトにおいても、そのオペラにおける徹底した愛の原理、平等、博愛の精神の貫徹を見ればわかるように、実際には人間というものが置かれている状況に対する理解と感受性から作品が生み出されている。



以前もそうだったとは思うが、特に最近、日本の音楽が薄っぺらくなったなと思う。

売れることが唯一の目的となり、中身の質が重視されない商業主義的な考えを持つレコード会社、ミュージシャンが増えているのだろうかとふと考えることがある。

音楽を職業としている以上、売れることは当然必須条件ではある。

しかし、その先にあるもの、例えば音楽で世の中に問題提起したり、人々に問いかけ、影響を与えるような、より高次のビジョンも大切ではないだろうか。

万人受けする、分かりやすいが深みのない陳腐な歌詞をノリで歌ったような曲に、私は魅力を感じることが出来ない。



そんな私が最近よく聞いているのが元X-JAPANのギタリストであり、ソロミュージシャンとしても活動したhideの残した音楽である。

一時騒動になったことで覚えている人も多いと思うが、1998年5月2日、彼は他界してしまった。

今でも私や多くのファンの心をhideが捕らえているのは、その逸脱のパフォーマンスや人々を惹きつけるカリスマ性のようなものもそうだろうが、彼が書いた歌に現れている彼の人間性なのではないだろうか。

彼の歌には、彼の優しさや思想、メッセージが込められている。

1996年6月24日に出された「MISERY」の中で彼は


悲しいというならば 空の青ささえも
届かないもどかしさに 君は泣くんだろう
君の小さな体包んでる夢は 痛みを飲み込み 鮮やかになる
Stay free my misery 手を伸ばせば感じる その痛み両手で受け止めて
Stay free your misery 愛しさを 憎しみを 全て受け止めて そのまま
Stay free my misery 降り注ぐ悲しみを その腕の中に抱きしめて
Stay free your misery 枯れるまで踊るだろう
全て受け止めて この空の下で 君が笑う



と歌っているが、これは当時出会った難病を患った彼のファンである少女へ向けたメッセージだと思う(詳しくはWiki参照「http://ja.wikipedia.org/wiki/Hide」)。

彼が生きている間に出した最後の曲、「ROCKET DIVE」の中では、彼は若者に向けて夢に向かって飛び出せと言う。

その後彼は他界してしまうのだが、彼は死ぬ前に「ピンク スパイダー」と「ever free」の2曲を既に発表予定していた。



「ROCKET DIVE」「ピンク スパイダー」「ever free」は3部作として作られた。

1作目で夢に向かって飛び出せと言った彼は、2作目において「しかし現実はそううまくいかない」ということを、ピンクの蜘蛛が空を飛ぼうと蝶の羽を奪って身に着けてみるが、うまく飛べずに墜落する姿に例えて語る。

そして3作目だ。

私は以前までその歌詞を、「それでも夢を見ることは大切なんだ」と語っているのではないかと解釈していた。

しかし最近、もしかして別の意味が込められているのかもと思い始めた。


割れた太陽みたいに
飛び散った日々も
消えてゆく 最初のメモリー
何処へ行きたいのだろう?
デタラメと呼ばれた君の自由の
翼はまだ閉じたままで眠ってる
ever free この夜を突き抜けて
目覚めれば 飛べるのか FReeに?



自分の思い描いていた夢は現実の壁の前にばらばらに崩れ落ち、

どこかへ消えてしまう。

自分が何処へ向かおうとしているのかも分からなくなってしまう。

無責任と言われた自分の夢を、この暗闇を突き抜けたときに再び追いかけることが出来るのだろうか?



彼が伝えようとしていたことは、こういうことだったのかもしれない。



最後に、彼の死後に発見、発表された、彼が完成させていたものの結局発表しなかった曲、「Junk Story」を紹介する。


見下ろしたそこは
あたたかい事でしょう
聞こえた歌も聞こえないほど
話す言葉忘れて
僕は何 歌いましょう
あの日の物語
明日の歌につなげようか
今も見える Junk Story
君の中の Junk Story
まわるまわる Junk Story
僕の中の Junk Story



「君」とは昔ロックに憧れ、そこに夢を見た少年時代の自分、そして「僕」は今、その夢をかなえ、ミュージシャンとして活躍する自分のことだと思う。

これは、夢(Junk Story)を描いた少年時代の自分に向けて、「今でもその夢が見えているかい?」と語った曲なのだろう。

彼はなぜ、この曲を発表しなかった(できなかった?)のか。

彼の魅力は尽きない。

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posted by 河村 拓 at 10:29 | Comment(1) | TrackBack(0) | 日記
この記事へのコメント
単純に PSYENCE のアルバムに合わなかっただけのことですが…
Posted by at 2015年06月07日 02:37
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